6/12 書評まとめ  「日本辺境論」 著者:「内田 樹」

日本辺境論 (新潮新書)

日本辺境論 (新潮新書)

【読前感】

なんか養老先生が帯で持ち上げまくってるんですけど。。。まぁ、とりあえずお手並み拝見といったところか?とはいえ、著者の内田さんには全く悪い印象はないです。同じく養老さんにも。

「日本人論」らしいです。そういうのってこの頃色々出てますよね。。。ブームなんじゃろか?ブーム本は苦手なんですがね。でも、たぶん、日本人が日本人たる事に自信がないんだろうね。そういう事じゃないかな?こういうのが売れてしまうっていうのはさ。

ただ、同時に民族論が出始めると、戦争のカゲがチラつきますよね。私は戦争は大嫌いなんですよねぇ。。。流石に。人が死ぬって如何考えても、人間の進歩を妨げるだろと・・・

まぁ偉い方は、それも人口の再配分ぐらいにしか思ってないのかもしれんがね。でも、整理される人間はたまったもんじゃないよね。そういうの難しいよ。

戦争って思うと難しく考えちゃうよね。大変だ。まぁでも、のんびりやっていきましょう。ちなみに、ちょっと前にあった日本の徴兵制に関してはどうなったんじゃろうか・・・?まぁいいか。

【書評】

『P3L6 「辺境人の性格論」は丸山眞男からの、「辺境人の時間論」は澤庵禅師からの、「辺境人の言語論」は養老猛司先生からの受け売りです』と言われると、3ついっぺんに読めてラッキーと思う反面、そっちも読みたいなーと思ってしまうどうしようもない子です;;

とはいえ、全て日本人を語る上では重要な人物だと思います!そういう意味で総復習(?)的な感じなのは凄く良いと思うし、好きです!w

『P8L2 「論の展開に体系性がない」とか「そもそも結論がない」などと言われても困る』良いじゃないですかーそういう論旨好きですし。なんというか、こういうのってとりあえず全部受け取ってみると言う上で凄く良い勉強にもなりますしね。

ちなみに、こういうときはOutPutを考えながらやると良いんだろうなって思ってます。この本から得た情報を如何にOutPutするか。。。?という発想で読むとメチャメチャ良いと思います。なので自分もそうしますw

『P15副題 「大きな物語」が消えてしまった』なんというか、流石です。つか、もう書評せずに、私この本で楽しんじゃって良いですか??wwwってぐらいにかなりピンポイントに自分がホントにやりたい思考へ進んでます。早くも15Pでwwみなぎってきたww

『P21L9 ほんとうの文化は、どこかほかのところでつくられるものであって、自分のところのは、なんとなくおとっているという意識である』うぉ。。。梅棹さんですか・・・流石ですねぇ。。。

『P22L11 私たちはどれほどすぐれた日本文化論を読んでも、すぐに忘れて、次の日本文化論に飛びついてしまうからです。日本文化論が積層して、そのクオリティが次第に高まってゆくという事が起こらない』確かに。自己認識が苦手な人種なのかもね。

『P23L11 日本文化というのはどこかに原点や祖型があるわけではなく、「日本文化とは何か」というエンドレスの問いのかたちでしか存在しません』素晴らしい結論です。つか私もこれは、どこかで使おう。。。ww

『P26L9 ある種の思考・発想パターンがあるがゆえにめまぐるしく変わる』丸山先生の発言はわかりやすい反面、ちと誤解を招きそうな感じもするなぁ。ただ、そういうパターンを意識上に上げる事は凄く大事なことだと思うけどね。

『P41L5 場の親密性を自分自身のアイデンティティの一貫性よりも優先させる傾向』これって、昨日読んだ「空気を読んで自分の意見を曲げる」てことじゃないか?これが国民性だとしたら、相当の意識と努力がないと変われないぞ;;;

『P43L8 首尾一貫した政治イデオロギーではなく、「究極的価値たる天皇への相対的な近接の意識」に基づいて全てを整序していた』つまり、元々偉い人が与えられていて、その偉い人に近い人が偉い的な、遠近感のイデオロギー支配が出来ていると。。。

これは凄く良くわかる話だよね。たぶん、会社とかでもそう思っている人が多いんじゃないかな?「あの人は課長だから偉い」みたいな。より社長に近づいてるから自分より偉いみたいなね。ホントは仕事が出来るかできないかで決めるべきなんだけどさ。

『P44L4 「何が正しいのか」を論理的に判断する事よりも、「誰と親しくすればいいのか」を見きわめることに専ら知的資源が供給される』最悪だ;;なんで勉強してるのかわからん;;ってでも、これも学歴変調主義に繋がるのかなぁ?

「何が正しいのか」というよりか、「正しい(優秀な)集団に属している」という点で学歴を評価されているのか。だから、学歴で人を決めると。何故なら、その学歴が、自分の正当性を固めてくれるものになるから。

『P56L8 「大東亜戦争」を肯定する、ありとあらゆる論拠が示されるにもかかわらず、強靭な思想性と明確な世界戦略に基づいて私たちは主体的に戦争を選択したと主張する人だけいない』結局、空気なんだねー。空気で何千万と死んだわけだ。凄いね。日本人。

『P61L10 先方が採用しているルールを知らないふりをして「実だけ取る」というのは、日本人がその後も採用し続けてきて、今日に至る伝統的な外交戦略』日本の外交戦略は巧緻ですさまじく、同時に誤解に満ちたものであるな;;;

『P64L7 課長が「私が社長です」と詐称して、取引先に行って、頭を下げて仕事を貰ってくるような』ちょwwwwこのたとえ、上手いし面白いwww

つか、この人の投げっぱなしっぷりは面白いなww真面目な事をてきとーに話す技術は色々なところで好かれ役に立つのだろうなぁww

『P78L9 私たちは国際社会のために何が出来るのか。これは明治維新以来現代に至るまで、日本人がたぶん一度も真剣に自分に向けたことのない問いです』間違いないなぁ。皆、自分の生活の事しか口にしてないもんなぁ。

時代に埋もれる天才がそこにはいたのか!?朝河貫一。覚えておこう。自分の無知ゆえに埋もれてしまっていた天才の名を!!

『P86L10 例外的に明敏な知性を要しない程度の推論が出来なかった』なんというか。。。まぁ確かに、このときは西園寺先生もご健在だったしなぁ。

『P87L11 人々が無知であるのは、自らが進んで情報に耳を塞ぎ、無知のままでいる事を欲望する場合だけ』う。。。現代にも当てはまりそうな話だ。。。

何故、世代間コミュニケーションが滞っているかといえば、どちらも、どちらの事を理解したいと思っていないのかもしれない。。。これは。。。危険な事だよ!

『P88L5 情報量の多寡と状況判断の当否は必ずしも相関しない。わずかな情報からもわかることはわかるし、潤沢な情報があっても、知りたくないことは知られない』とっても耳が痛いんですけどね;;;;;;;

『P88L14 幕末の日本人に要求されたのは「世界標準にキャッチアップすること」であり、それに対して、明治末年の日本人に要求されたのは「世界標準を追い抜くこと」であったということ』現代と重ね合わせてしまうのは何故だぁorz

だれも、高度経済成長以降を語れてないよなぁ。結局は、また高度経済成長に戻ろうぜ!みたいな話しか聞かないしね。

『P89L2 日本人は後発者の立場から効率よく先行の成功例を模倣するときには卓越した能力を発揮するけれども、先行者の立場から他国を領導することが問題になると思考停止に陥る』だぁぁぁぁぁ。。。なってるなってる。。。つか、バブった時になってたよ!!

『P95L6 ヨーロッパ思想史が教えてくれるのは、社会の根源的な変革が必要とされるとき、最初に登場するのはまだ誰も実現した事のないようなタイプの理想社会を今ここで実現しようとする強靭な意志を持った人々』日本の英雄志向に近いが。。。

日本の英雄志向はエホバの到来であって、ヨーロッパの場合は、キリスト再来なんだろうな。そういう点も興味深い。

『P97L8 世界標準に準拠してふるまうことはできるが、世界標準を新たに設定することはできない』最悪や。。。っていわれてみれば、日本人の未来学者っておるんかいなー?気になる。。。

軽くググって見ておらんかった。そういうことらしいorz

『P99L8 私は理性もシステムも十分には信じてはいません。私が関心をもつのは、どうふるまうべきかを知ることです。より厳密に言えば、神も理性も信じないでなお人はどのようにふるまい得るかを知ることです』カミュ先生。。。

『P120L9 主張するだけで妥協できないのは、それが自分の意見ではないからです』うぉ@@;やっべ。。肝に銘じておこう。。。

『P121L11 自説を形成するにいたった自己史的経緯を語れる人とだけしか私たちはネゴシエーションできません』うむ。。。確かにそれをとことんつきつめて説明できるような人はなかなか少ないよなぁ。。

皆「正しい」意見を言っちゃうもんなぁ。昨日も言ったけど、「戦争には良い面がある」なんてエッセイ書いたら、皆が眉をしかめて、評価されないのと一緒よね。だって「戦争は良くない!」って教育されているからねww

ここからかなり長い話を抜粋します『P131L8 幼くて切腹の作法を知らない弟が「ついぞ切腹を見たることなければ、兄のなさん様を見て己れもこれに倣わん」というと、兄二人は涙ながらに微笑み、「いみじくも申したり、健気の稚児や」とみごとに(続く

(続き)腹かっさばいて切腹の見本を見せると、弟は、「兄のなす様を見、両人の共に息絶ゆるや、静かに肌を脱ぎて、左右より教えられしごとく物の見事に腹切り了った」』。。。たぶん現代においても腹を切れるんじゃないかな?如何なんだろうなぁ。

『P135L6 努力と報酬の間に相関があることが確実に予見せらるることは武士道に反する』。。。。。。なんか、今、ブラック企業が存在する、その存在を支えている理論を見た気がする。

なるほど、今のSEドカタはマジで、現代の武士なのかも知れんね。過労死するって言うのは。つまり報酬度外視の努力こそが武士道だと。よくわからね。。。1000万の仕事をしたら1000万欲しいもんじゃないのー?

『P145L6 黙々と便所掃除ばかりしている弟子では「感情」の方が変化します。そういう「無意味なこと」をしている自分を何とか合理化しようとするからです』なんか。。。長年の悩みがボロッと崩れました。。。ww

『P146L15 私はなぜ、何を、どのように学ぶのかを今ここでは言うことができない。そして、それを言うことができないという事実こそ、私が学ばねばならない当の理由なのである』。。。肝に銘じておこう。。。

『P150L10 結果的に学べるなら、誰に指示したって同じである』!!だから、公立中高の教師はあんなクズばかりだというのか!??いや、なんというか深いね。気がつかなかったわ。

『P199L7 「その意味を一義的に理解することを許さぬままに切迫してくるもの」について、「理解したい。理解しなければならない」という事が先駆的に確信されることが「学ぶ」という営みの本質をなしている』とりあえず、やってみるってヤツですな!

『P216L3 日本語ではメタ・メッセージの支配力が非常に強い』あーわかる。言いたいことが正確に伝わっているか?という問題は度外視されて、言いたいことがどのように(印象操作のように)伝わっているか?という事が重要視される。

『P217L8 少し前の総理大臣は記者会見でも、あらゆる質疑応答において「質問する記者は何もわかっておらず、私のほうが当該論件については熟知している」と印象付ける事に知的リソースのほとんどを投じていました』。。。宮沢か??

『P225L15 「漢字だけが読めない」場合と「かなだけが読めない」場合』これ、本論とは相当離れたわき道の例だけどメチャメチャ興味深いなぁ。

『P238L9 学術的論件をコロキアルな語法で展開するということに知的リソースを投じるという習慣は欧米にはありません』だろうなぁ。そしてそれをそのまま日本でも輸入するよな。最初、アガペーとかエートスとか全然わからなくて苦労したのを思い出したわ。

『P246L11 外来の知見を「正系」に掲げ、地場の現実を見下す。これが日本において反復されてきた思想状況です』まぁ、外来の文化を取り入れて発展するのは良いと思うけど、それまでを否定するのは如何なんだろうなぁ・・・?

【読後感】

とりあえず。。。軽く書評してしまうには辛いほど内容のあった本であった。というか、もしかしたら単に私自身が今課題として考えているような事を、著者もそのまま書いていたからかもしれない。とりあえず昨日よりか圧倒的に疲れたし、時間もかかっている;;

読んでて非常に面白いと思ったし、難しい流れをしっかりとわかりやすく咀嚼しやすいように提供している感じはあった。その点は凄くありがたいといえるのだが、本来の知の受け方としては、そうではなくてとりあえず食べてみる気概がないといけないんじゃ。。。

と思ったが、良く考えたら、こうやって提供されたものを受け取るのが日本人の学びであったのだし、そしてこうやって提供するのが日本人の知的階級と呼ばれる人たちであった。と、この本に書いてあったww

そうやって考えると、日本人の知的エリートって、外の知的エリートとは全然違うよなぁ。。。とも思う。まぁ、お外の方は、一般的に理解できない事を理解できなくても良いんだ〜とか思っている辺りはダメだと思うけど。。

ということは、日本人の「学んだ事を伝える時にはわかりやすい形で説明する(翻訳する)」という精神と、お外の方の「理想社会を現出してやる!」というとんでもない個の力を併せ持った人間がいたら凄くねぇか???

つうことは、それを目指して頑張れば良いのかな?まぁ、それが求められているかどうかわからないけど、別に求められていなくても楽しければ良いかなwまぁ、そんなところで、今日の書評は終わりにしますーお疲れ様でしたw

日本辺境論 (新潮新書)

日本辺境論 (新潮新書)