6/14 書評まとめ 「こころの格差社会――ぬけがけと嫉妬の現代日本人」 著者:「梅原 純子」

【読前感】

こころ。。。格差社会。。。どちらも今凄い問題になってますね。物質的には豊かだが精神的には貧しい社会だとか、格差は広がる一方だ!とか。。。

ちなみに、私は、格差が広がっているとかあんまり考えていません。ただ、日本全体が落ち込んでいる。その中でお金を「持つもの・持たざるもの」の間で、その落ち込みのスピードの問題なんじゃないかと。

本来の格差とは、上がるものがいて、下がるものがいて。でも、今は下がるものしかいない。さてどうしようか?という話ですね。そういう意味で、格差社会の象徴というべきアメリカの状況とは少し違っていると思うので、あんまり参考にはならないんじゃないかなぁ?アメリカは。

まぁでも、勝間勝代的な、モードチェンジ!みたいな話ではないことを祈ります。。。でも、なんかそんな感じなんだよね。。。

チェンジは良いけど、モードチェンジは、ぶっちゃけ、問題の先送りでしかない。ので、チェンジを叫ぶべきだと思います。モードチェンジは、個人の問題であり、チェンジは社会の問題。個人の問題を社会が考える、というのが健全な社会のあり方だと信じています。

まぁ、そんな感じでのんびりやっていきますか。という事でゆっくり読んでいきます〜

【書評】

『P12L1 外的な条件がアップすれば人は幸せになれる、という命題』ってありますよね。とりあえず、男の魅力は年収だと公言してるような女性もいますし、それを信じている男性もいる。私は外見的に○○だからと諦めてしまう人もいる。なんだかなぁ、って感じです。

でも、実はそんな事、あんまり関係ないんですよー。というのが、もしかしたら本書の主旨かもしれませんが。。まぁそうでないかもしれない。言いたいことは同じでも、とりあえずこの著者の表現にお任せしましょうw

『P13L12 外的条件が良い方にかわっても悪いほうにかわっても、多くの人は次第にそれに慣れてしまう』つまり、外的条件はほとんど何も影響を与えないという事ですね。もっと言ってしまえば、そんなもの追求しても意味が無いよって感じですかね。

『P15L6 人は何故、せっかく努力して手に入れたものにすぐに慣れてしまうのだろうか』根源的な、非常に興味深い問いですよね。私も凄く不思議に思います。なんでなんでしょうね?もう十分に金とか地位とかあるやん!って人が追求していたりするしね。

『P16L16 我々は、もっともっと、と貪欲に生活を肥大化させた生き物の進化のうえに形成された遺伝子をもっている』これ、ほんとだったら、人間は不幸せになるために生まれてきたような・・・なんというか「原罪」的な発想だね。

まぁでも、確かにこういう肥大的な発想をもってなかったら、ここまで他の種族を滅亡させてまでの発展とかはありえなかっただろうね。そういう意味で、自然界の中で最も罪が重い種族が人間かもしれないね。

『P18L2 人が獲得したものにすぐに慣れて次なる外的条件を求める理由の第2は、欠乏感にかられ何かを獲得するためになされるプロセスが生む「高揚感」「達成感」である。』これは凄く理解できるよなぁ。。。

『P23L1 日本経済の失速を心の観点から見るなら、バブル経済で得た資金を活用し、楽しむ事だけに集中し、つまり、所有する事だけを楽しみ次なる目標設定をする事ができなかった指導者達のミスといえるのである』これ、大事!

『P28L6 両親からの外的条件を幸せの基準とする生き方から脱却して、自分なりの場所を見つけ幸せの条件を見出したが、両親からの強い「生き方のおしつけ」やコミュニケーション不全で壊れてしまう若者も多い』凄く理解出来ますなぁ。。。

私自身、これに関してメチャメチャ両親と揉めに揉めたんで。。。まぁ、自分は両親に負けつつ反抗を繰り返し続け、結局大変な事になってるんですが。。まぁ仕方ないといわれればそうなんだけどねーw

『P40L4 世界の金持ち3人の資産の総計が、なんと最貧国48カ国をあわせた国民総生産を上回る』これが、格差ですね。これを是正するようなシステムは作ることはできないでしょう。そういう問題なのです。

コミュニケーションに重きを置いている文章ですね。いろんな意味で。日本には、健全なコミュニケーションが行われているような例がほとんど存在しません。多くの場合は「なぁなぁ」になってしまい、「真の論点」を議論する必要がないからです。

でも、それ自体が、ほんとうの問題を生み出すというのが、本旨ですね。非常に重要な事だと思います。「蟠り」と簡潔に言ってしまっても良いですが、簡潔だとやはり切りすぎちゃってる部分もあるのでね。

『P56L3 場の中に入る、和を乱さない、という原則は、日本社会の中でうけつがれてきたある種の文化的な思考回路である』おっとーーー。また「空気」の議論になってきました。これを議論するのが好きなのか大事なのかだんだんわかんなくなってきた。。。w

『P64L16 成功者がやっかまれる社会はシステムが腐敗している可能性がある』うあ。。。色々考え直さないといけないんじゃないかなぁ?と思うけどね。私自身はすげー腐敗してると思うよ。というか、機能不全に陥ってるイメージ。

『P66L1 現実的には子供を有名大学に入れるためのチャンスをふやすためには、親が豊かでなければならない』これについて、私は親から自慢された事がありますね。「こういうことが出来るお前は幸せなんだぞ」と。実際は、高校受験のときの滑り止め校の話なんですが

子供心ながらに、それって自慢できる事なんかぁ?と本気で思ったので、その場で大喧嘩してしましたが。まぁでも、完全な親なんかいないんで、仕方ないんすけどね。でも、うちの親が比較に出した家の子供は私と凄く仲が良かった子だったので、ピキッとしましたが。

『P73L2 がんばれば実績があがりいい生活ができるという高学歴・ホワイトカラーの人々には、努力したってうまくいかない、という人々の無念さが理解できない』確かに理解できないんだろうなぁ。私自身、受験は体力勝負って思ってるしなぁ。。。

『P75L9 才能とは本人の努力のみによって生み出されたものでなく、親からうけついだり社会環境によって形成されたものである』ロールズ先生ですね。これは非常に共感を持ってみています。もしかしたら、共感を持ってはいけないような境遇かもしれませんが。

『P83L3 所得格差が解消されないまま次第に豊かになっていく社会、しかもそれが「競争力」という名のもとに正当化されてしまう社会では、犯罪率が増加する』これが当てはまらないのが日本なのか?あんまり顕著に出ていない。隠してるだけなのか?

『P88L8 つまり選択に残るためには目に見えない条件が必要なのだが、勝ち組の人間には、自分たちが自分たちの実力と努力だけで勝ちとった、と思ってしまうことに問題』って、この心理状況って当たり前じゃないか?と思ってしまうんだが・・・?

『P99L13 文化には文化を支配している「亡霊」があり、それが心理的抑圧や支配を成り立たせているもとになっていながら、だいたいは隠され無意識になっているポイントを持っている』この気づきは凄い大事だと思う。

『P100L10 大切なことは、自分がそうしたゴーストに縛られていることがあると気づくこと』わかっちゃいるけど、これってとっても難しい。そして、それしか成功が得られないと思い込んだり、それしかないんだと絶望したりしてしまった時はなおさらだ。

『P100L13 もし、あなたが、ある「スタイル」に自分をあてはめなければ幸せになれないと感じているなら、それは社会や親からのゴーストではないか、と検討してほしい』全ての日本人に告ぐ。検討しろ!w

『P105L6 「病気になっても保障してくれる会社があって有難い。だから自分は退職して独立しない」という結論に自らを納得させるためではないだろうか』後半部分が凄く大事。時に人は、心の不調から現実を作り変えてしまう事があります。

『P120L8 給与やボーナスの額を決定する時、その決定までのプロセスが公正であれば、結果はともあれ報酬に対する満足度が高いのである。』これ重要。もはやデータとして出ている話。

『P124L11 社会的カリスマは、反対意見を言う者を抹殺したり敵対したりするためのパワーをもつことでなく、組織や人々が幸せになるためのパワーをもつことでなくてはならない』深いよなぁ。。。でも、これが豊かな人間に課せられている使命であると思う。

『P129L15 自分は何をやってもダメだ、むいていない、自分はなにをやっても失敗する、というようなブロックをはずすことに、人は目をむける必要がある』これで、出来るのにできない人がいるよね。でも、「やれば出来るのに」は励ましにならないから注意。

『P137L11 ネガティブかポジティブかというのは、ものの見方の結果でしかない』物事には裏表がある。そして、それを評価するのもまた人なので、そこにも裏表が存在する。そういう事を意識していれば色々見方も変わるだろうね。

『P139L13 本来のものを組みかえて自分たちに都合のよいものを流通させるのは日本の特徴だ』これは、マイナスイメージを与えるが、昨日の本では別にネガティブでもないようだったよね。これが評価の仕方。すなわち、表象原理ってヤツ。

『P140L3 自分のしたいことをしていると、そのことで自分が楽しいだけでなく、他人のためにもなっているという心境に達するのである』この極意は超大事!つか、これがなく、仕事=辛いモノみたいになってるから、妙な閉塞感が。。。w

『P156L7 食べて、着て、住むためには――ほんの少ししかいらない。そのほかのものは、ただ他人の趣味に迎合するためか、他人より目立たんがために手に入れるものである』こういう感じで、軽く諦めちゃってるのかなぁ。わかんないなぁ。

たぶん、私自身が言うなれば「勝ち組」からあぶれてしまったマインドを持ち続け、それと戦い続けている結果なんだろうと思う。ただ、感覚としては、これに勝ったところで意味はないと思っている。単純に、私は生きていければ良いのだ。

『P139L10 自分の怒りや悲しみや感情について語らないというのは、男性にとって「美学」のことがある』ああーあるよね〜。どんなに仕事が大変でもがんばってる先輩凄い!みたいなね。でも、意外と、モテる男ってこういうのをポロッと出しちゃったりする。。。w

『P168L1 自己超越願望とは、自分らしい固有な人生が、自分のためだけでなく、更に他者、人々のために還元されるような生き方』ここに達している「勝ち組」がいったい日本には何人いるのか?数えるほどしかいないのではないかと思う。そのくらい少ない。

【読後感】

最後の書評から50Pほど一気に読み終えてしまいました。スイマセン。ちと批評者としてはよくなかったと反省しています。

こういう本は、なんというか、成功している人にこそ読んでほしいですが、しかし、成功者はその成功という状況ゆえに自分は完璧だと思っているのでしょう。そういう意味で、社会のTOPのかなりの人々が勉強をしていないのも理解出来ます。

社会的な認証を得ることが果たしてほんとうの意味で、成功なのか?まぁ、確かに外的要因的には成功なのは間違いないでしょう。しかしそれだけなのか?そこで終わるのか?

そういう疑問や思考は重要でしょう。そして、その様なことは、その成功が終わった後にふと考えるのではなくて、成功が続いている時から訓練が必要なのでしょう。

しかし、それを本当に必要と考えるかどうかは貴方次第なのでしょう。なんというか、それは「必要なんです!」と説いた時点で、もはや新たなるゴーストなんだと思います。そういう意味で、昨今の「自分探し」には意味が無いのでしょう。

とすると、多くのアドバイスや「こうすべき」といった議論自体が「新たなるゴースト作り」に加担しているのかもしれません。それを避けながら言及するというのはとんでもなく大変な知的活動なのではないでしょうか?

そういう意味で凄く考えさせられたし、それを考えたという点でこの本は私にとっては重要だったのでしょう。まぁ、皆さんがどうかはわかりません。それも仕方ないですよね。だって、そういうもんだって説かれてるんですものwそれでは、今日はこれで終わりですー。